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文部科学省委託事業報告

平成19・20年度文部科学省委託
障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業委託事業

都立知的特別支援学校へST(言語聴覚士)を巡回派遣し、教育の場へ専門家を導入した事業報告について

言語聴覚士によるコミュニケーション支援の有効性 
                           副理事長 中川 信子
 言語聴覚士(以下ST=Speech Language Hearing Therapist=と略します)は、話す・聴くなどのコミュニケーションをはじめ、読み書き、摂食嚥下にかかわる専門知識を持つ職種です。医療分野を主体とするリハビリテーション関係職種であるため、 教育分野への参加はなかなか思うに任せませんが、障害と名のつく人たちがいる場所に配置されれば、お役に立てることは確実です。それは、STがリハビリテーションという背景を持つ職種であることと関係があります。
 リハビリテーションとは、「リ(「再び」)と「ハビリス(ふさわしいものにする)」の合わさったことばで、障害を持つ人たちが、今現在持つ能力を十全に用いて、よりよい社会生活を送ることを助ける、という意味を持っています。
 都立の肢体不自由特別支援学校においては、STの配置が一般的になって来ていますが、これは、肢体不自由の人たちに対しては「何かできることが、もっとあるはずだ」という学校側の思いがはっきりしているからではないかと思います。
 一方、知的障害特別支援学校では、「ことばが言えないのは、遅れが大きいから」「発音がはっきりしないのは知的障害のため」「コミュニケーションが取れないのは自閉的な傾向があるから」と理解して、「だから、毎日の生活の中で、くりかえし体験させることが大事」と片付けてしまう傾向が強いように感じます。
もちろん、子どもが生活の中でこそ成長するのは、紛れもない事実ですが、でも、そこに専門的視点からの適切なアドバイスが加わることによって、子どもに伝わりやすくなったり、子どもからの発信が読み取りやすくなったりすることは大いに期待できます。
子どもの現状を把握する「アセスメント」は、コミュニケーションや言語能力の育ちを考えていく上で、欠かせない出発点ですが、STは、アセスメントの方策をいろいろ持ち合わせているのが、職種としての強みです。
 学校側が、専門職の有効性を認識している学校であっても、専門家意識をふりかざし、できそうもないことを強く言うようなセンモンカに入ってこられては学校現場が困惑するから…と躊躇したり、また、実際、過去にそういうタイプの専門家にあって、もうコリゴリと思っている学校もあると耳にします。逆に、STの協力を得たいと思っていても、どこでどうやって探せばいいのか、皆目見当がつかないというのも、今の日本の現状です。
 このほどNPO法人ことのはサポートが行った「障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業委託事業」は、子どもの生活を知るSTを学校に派遣し、従来の学校教育のレパートリーの中になかった子どものコミュニケーションや発達についての見かたを学校に持ち込み、しかも、毎日の生活の中でどのようにかかわることが望ましいのかを、具体的にアドバイスする、という試みでした。
最初は学校側にもST側にも、戸惑いがあったのは事実ですが、両者が互いを知り合い、何より、「子どもたちのよりよい育ちのために」を共通目標において力を出し合ったことで、大きな成果が得られました。
このような試みがさらに広がってゆくよう切に希望します。

「平成19・20年度 NPO法人ことのはサポートによる外部専門家(言語 聴覚士)派遣による指導の連携について」
                    東京都立白鷺特別支援学校長 山口学人先生  
これまでの経過と成果
 平成19年度より、本校ではNPO法人「ことのはサポート」から外部専門家の言語聴覚士を派遣していただき、コミュニケーション力の充実を図る指導を進めてきた。平成19年度は、NPO法人「ことのはサポート」より言語聴覚士の奥山先生が派遣された。指導の内容としては、中学部及び高等部の9名の生徒を対象としてコミュニケーションに関する指導を実施した。その中で、生徒の指導方針をまとめるために、言語聴覚士と連携して「コミュニケーション支援記録シート」を作成した。このシートに基づいて、実践的な指導を行ってきた成果を学校と家庭が共有することにより校内のコミュニケーション指導の向上を図ることができた。
 平成20年度は、NPO法人より新たに言語聴覚士の松本先生を派遣していただき、本校の課題となっていた自閉症の生徒に対する指導充実を図るために、中学部に 在籍する自閉症の生徒を中心とした9名に対象を絞って指導を実施した。そこでは、実態把握のために東京学芸大学大友潔教授により開発されたLCスケールを使用して、アセスメントを実施した。コミュニケーション力に関するアセスメントをしっかりと行なうことで、「コミュニケーション支援記録シート」についての内容も充実し具体的な指導方針を充実させることができるようになった。
今後の課題と計画
 平成21年度は、昨年度より引き続きNPO法人ことのはサポートより、言語聴覚士の松本先生を派遣していただき連携を図っている。今年度は、中学部1年生に新設された自閉症学級の生徒6名を対象に指導を実施している。さらに、LCスケールを作成した東京学芸大学の大伴教授を招いてLCスケールの実際の使い方について、中学部全教員を対象に研修を実施する予定である。生徒の専門的理解の向上と指導環境及び指導方法の改善が今後の課題である。

「言語聴覚士STという専門家が必要だった」
                    東京都立水元特別支援学校長 戸田純子先生
本校のめざす学校とは、「児童・生徒の自己実現と社会参加・自立にむけた、基礎となる力を育成する学校」です。そのために、学校として何をなすべきか考え、実践につなげてきました。校長は、目指す学校へのビジョンと具体的方策を教職員に示し、教職員が一つになって児童・生徒の幸せの実現にむけていくことが近道であると考えています。また、教職員一人ひとりが使命を感じ自覚をもって、児童・生徒の指導や保護者への説明・責任を果たしていくことが信頼を得ていく一歩と考えます。
 「目指す学校」「児童・生徒の幸せ」の実現に大切な内容の一つとして、教職員の専門性の向上がなくてはなりません。教職員の専門性を向上させ、学校全体の財産となるような組織や仕組みも必要でした。具体的には、校内研修会の在り方やもち方を改善し、外部専門家の導入も積極的に行ってきました。外部専門家であればどんな人材でも良いかというと、違います。
「めざす学校」「児童・生徒の幸せ」の実現を可能にする教職員を育成できる外部専門家が必要でした。実践力のある教職員が必要で、実践力を育成できる「力のある外部専門家」がほしかったのです。
 この度、「ことのはサポート」の理事長柳田節子氏とご縁をいただき、二年間の事業に参加させていただけたことは、本校の児童・生徒および教職員にとってかけがえのない二年間でありました。直接指導にあたってくださった、松本美代子先生からは多くのことを学び、実践に生かすことができました。その結果、児童・生徒の日常生活や教育活動のあらゆる場面においての変容を実感しているところです。
 松本先生は、本校の課題をするどく見極め、実践的研究を進めてくださいました。厳しくも温かくもあった研究でした。このような、経験や研究は本校の研究実践のベースとなっていくことでしょう。
 特別支援教育へと移行し、ますます教職員の専門性が必要になり、かつ求められてきております。これからも、学び続ける教師として、そして実践力のある教師をめざし研究を重ねていけるために、外部専門家との連携を深めていきたいと考えています。

「知的障害特別支援学校と言語療法士との連携について」
                    東京都立墨田特別支援学校長 廣瀬正雄先生
20年度、NPO法人ことのはサポートから、年間9回の計画で言語療法士の方を 派遣していただいた。3回は、高等部の生徒10名のアセスメントを行っていただいた。その結果を習熟度別の編成の参考にさせていただいた。また、2回は中学部の3名の生徒(自閉的傾向)についてのコミュニケーションの手段に関する助言をいただいた。4回は、小学部の7名の児童のアセスメントをとっていただいた。
小学部の児童に関しては、主に言語の表出に関するアドバイスをいただいた。各学部の教員からは、言語療法士からのアドバイスはこれまで経験的にとりくんできたことの裏づけになり、違う視点からのアプローチを示していただいた点で大変有意義であったという感想が寄せられた。また、アセスメントをとる中で言語療法士の児童・生徒に対する言葉かけや実際の進め方が、教育指導上の参考になったという意見も聞かれた。
知的障害の児童・生徒のための特別支援学校である本校には表出言語の発声が口腔の機能上の影響により不明瞭になる児童・生徒も多く、また自閉的傾向という障害特性からコミュニケーションそのものがとりにくい児童・生徒も増えてきている。その全てに有効であるという結論は出せないが、さまざまな児童・生徒の課題に対するアプローチの一つとして、知的障害特別支援学校にも常駐させておきたい専門性であると、今回の連携を通して強く感じた。
本校は地域の特別支援教育のセンター校として、また、副籍制度の充実のための支援学校として学区域(墨田区・台東区・荒川区・足立区・葛飾区)の小・中学校、あるいは高等学校との連携強化を図っているが、特別な支援を必要とする児童・生徒との出会いが比較的少ない通常の学校の教職員にとっても、言語療法士が行う種々のアセスメントも含めた心理学的アプローチは児童・生徒の理解、課題の発見、指導上の手当それぞれの段階において有益なツールであり、本校コーディネーターによる小・中学校教員向け講演や相談においても、使わせていただいている。
素朴な「経験主義・体験主義」が結果的に児童・生徒を追い詰めてしまっているのではと懸念される知的障害特別支援学校に、障害のある児童・生徒との豊かな関わりをもった専門家としての言語療法士の配置が制度として導入されることを期待してやまない。




本事業に協力してくださった言語聴覚士

平成19・20年度担当 松本 美代子氏
 はじめに、これまで約30年以上幼児教育で子ども達の発達支援をしてきましたが、いつか、特別支援学校の先生方と一緒に協働できることを願っていました。私にとっては、児童期、思春期、そして青年期初期の知的障害を持つ方々が、どのように成長していらっしゃるのかを知ることは、幼児教育の意味を再考する機会になります。そして、この協働が学校の先生方にとっても刺激になることを期待していました。
 文部科学省の事業を受ける前年の2006年は、ボランティアという立場で特別支援学校に受け入れていただきました。校長先生のご理解があったからこそといまさらながらに感謝しています。
 最初は、「言語聴覚士」の職種について先生方に理解していただくこと、そして、教室のコミュニケーション環境についての見直しから始まりました。教室の掲示物や椅子、机の配置、先生方の立ち位置、絵、文字などの視覚情報の適切さ、さらには、先生方の言語、非言語コミュニケーションの適切さについて検討しました。
 文部科学省の事業を受けた2年目からは、LCスケールの実施を通して先生方にアセスメントの実際を紹介しました。そして、いよいよ3年目に、アセスメント後の先生方へのフィードバックの時間をいただくことによりケース検討をすることができるようになりました。この頃になると、先生方にも言語聴覚士の存在がずいぶん浸透してきたことを雰囲気で感じられるようになりました。ケース検討に関して、年度の前半は情報をお伝えした後に幾つかの質問を受ける程度でしたが、後半になると先生方からケースのまとめ報告をしていただきディスカッションが出来始めました。つまり、先生方と 言語聴覚士が職種として横並びになって生徒の個別指導計画を検討することが可能になり始めたことを感じました。ですから、これからチームアプローチが可能になったところでの事業終了は少し残念でした。やはり、人間関係が成熟していくには三年という時間が必要なのだと改めて感じさせられました。しかしながら、もし、言語聴覚士以外に、心理士、理学療法士、作業療法士など、複数の職種がチームを組んで先生方と協働できたらもう少し早くにチームアプローチの基礎作りが出来たのではないかと考えています。あくまでも私の個人の経験を通した意見ですが、単一職種が一人で学校に入ることは強い精神力が必要だと思っています。それくらい、学校は歴史が長く大きな組織だということではないでしょうか。
 最後に、私が心を動かされた2つのエピソードを紹介します。一つは、事業2年目の最後のケース検討会でのことです。中学部のA君のアセスメントを1学期に行いました。A君は知的障害と自閉症を併せ持っておりさらに思春期の難しい時期を過ごしていました。少しの事でイライラして先生とぶつかっていました。A君の身長と体重は男性の先生方を上回るくらいでした。アセスメントを通して分かってきたことは、A君は、言いたいことがわかっているのにその場ですぐに言葉がでてこないストレスを持っていることでした。「話す能力がないのではなく、言葉を思い出す機能に問題があること」を指摘しました。そして、関わる側の方法として、A君の言いたいことを代弁してあげること、A君が一瞬でも気持ちを抑えてくれたら即座に「いいね!」「ありがとう!」という言葉かけをすることになりました。最初は、担任の先生は半信半疑だったそうです。でも、まもなくA君の自己調整できる頻度が多くなっていったことを聞きました。先生方と共にA君の成長の喜びを共感できたことは今でも私の心を熱くします。二番目のエピソードです。それは本事業での訪問最後の日。ケース検討が終了した後に、1学期にケース検討をしたB先生が廊下で私に駆け寄ってきました。ケース検討後に自分なりに工夫した「視覚的手立て」の教材を見せてくれました。わずか数分の出来事でしたが、その若い先生の情熱を感じました。そして、この場で紹介できなかった多くの素敵なエピソードが、先生方の底力の存在を今でも私に語りかけてくれます。学校教育における、教師と他職種との協働の意味を強く感じさせられました。改めて、この経験が出来たことに心から感謝し、近い将来、教育のおける複数職種のチームアプローチが制度として当たり前になる日を心待ちにしています。


平成19年度担当  救仁郷 利依氏
 特別支援学校における言語聴覚士巡回相談に関わって
私は平成20年9月から平成21年3月まで、言語聴覚士(以降STとします)による特別支援学校巡回相談の実践研究に参加しましたので報告させていただきます。
 今回の巡回相談では、高等部の児童生徒10名、中学部3名、小学部7名を対象として、計9回の相談を行いました。
 コーディネーター役の学部主任の先生方には、担任の先生とともに対象となる児童生徒を挙げてスケジュールを組んでいただき、各担任がまとめた児童生徒に関する基礎情報(生育暦・学校生活の様子・言語コミュニケーション面での課題など)を相談当日にSTに渡していただくことをお願いしました。また、児童生徒の担任の先生方には個別評価の見学をしていただき児童生徒の様子を観察してもらうこと(可能な場合に限る)と個別評価後にSTとカンファレンスに参加していただくことをお願いしました。
 このカンファレンスの時間を設けていただけたことは大変良かったです。放課後、1時間半程度の時間をいただいて、評価結果や今後の課題について一緒に考える貴重な時間となりました。
 巡回相談の具体的な内容としては、児童生徒1人あたり30~40分かけて個別に 言語・コミュニケーション能力の評価を行いました。
 評価バッテリーはL-Cスケール、国リハ式言語発達遅滞検査<S-S法>、構音検査絵カードを使用しました。その日のうちに担任の先生とカンファレンスを行い、後日、評価結果・課題を紙面にまとめて担任に提出しました。
 この研究に取り組む中で私が感じたこと・学んだことして次のことがあります。
1 言語・コミュニケーション能力を支援する専門家である言語聴覚士の役割を現場の先生方に具体的に示すことができました。
2 子どもの言語理解面、表出面、コミュニケーション面の発達を分析し、担任の先生に伝えることで「子どもの困り感」への理解が深まりました。
3 巡回相談をきっかけに個別支援の必要性を認識し、早速授業に取り入れて下さる先生がいました。私の提案した課題を実施し、その結果をSTに報告していただいたので私自身のフィードバックになり、大変勉強になりました。
4 STは学校現場のことをもっと知ることが大切であると感じました。実際に学校現場に入り、児童生徒や先生方の生活に触れることで、言語聴覚士に求められている支援を模索していかなければならないと思います。そのためにはSTが学校での支援に参加できる体制作りが不可欠です。
 最後になりましたが、この研究事業に参加する貴重な機会を与えて下さったNPO 法人「ことのはサポート」代表の柳田節子さんやSTの中川信子先生、そして墨田特別支援学校校長先生をはじめ、コーディネーターとなってくださった各学部主任の先生方、担任の先生方に感謝の気持ちを述べたいと思います。
本当にありがとうございました。


平成20年度担当  松本真紀氏
「特別支援学校における言語聴覚士の役割」
 昨年度、特別支援学校において、言語聴覚士(以下ST)として活動させていただきました。STとして、実際の学校現場で再認識した専門職種としての役割とその意義について私見を述べたいと思います。
 依頼された活動時間と対象生徒の人数から、(約2カ月間に10回程度、中学部自閉症生徒13名)学校におけるSTの役割を「学校が、生徒一人一人に対し個別的配慮をもって、適切な学習指導を実践するために、必要な情報を教員に対し提供すること」としました。具体的には、以下3点の情報提供を中心に行いました。
(1) 生徒一人一人のコミュニケーション能力の詳細な評価の情報
 『LCスケール』を用いての個別アセスメントと授業時等の観察によるコミュニケーション行動分析を行いました。「言葉の理解」「言葉の表出」「コミュニケーション行動」の3側面を評価し文書にしたうえで担任教員に説明しました。たとえば、言語理解面についてクラス担任から「指示は言葉で概ね理解可能」という生徒の評価に対して、STからは「一般的な名詞、形容詞を含む2語文の理解は可能だが、3語文や[2こ][少ない]など量的概念語の理解は困難」であるという、より詳細な理解レベルの評価をお知らせしました。その結果、この生徒に対して3語文以上の話しかけや理解の難しい語彙の使用について、またより分かりやすい言葉かけについてクラス担任と話す機会が持てました。
 言語表出面ではクラス担任から「単語を話すがあいさつは言わせると早口になる」生徒に対しSTから「名詞一語発話は可能、コミュニケーション機能としては[応答]はあるが[要求][報告][呼びかけ][あいさつ]は観察されず、自発的な発語に制限がある」ことを伝え、使える言葉を用いて使う場面を広げる機会や方法について話し合うことができました。
(2) 障害特性に応じたコミュニケーション支援方法の提案
 今回のように、自閉症生徒が対象であっても、そのコミュニケーション力や、特性は様々です。視覚的な情報に強いという一般的な特性はありますが、文字、絵、写真、サイン、具体物など何を用いたらわかりやすいか、一人一人が微妙に、あるいは全く違っています。また、コミュニケーションの場面や相手によっても変化します。
 さらに、同じ写真の呈示でも、呈示の仕方によっては理解が難しいこともあります。こうした、コミュニケーションの具体的方法について、個人に合った支援についての情報を、STから提供し、クラス担任からは実践結果を提供いただき、修正する取り組みを行いました。こうした生徒個人により役立つ方法をみつけるための連携が大切であると思います。
(3) 個別的学習課題の設定や手続きに対する助言
 STは言語療法として対象の方と個別的に対応し、スモールステップでの課題設定を日ごろから取り入れています。言語障害の特性に応じた課題設定と教材の選定、課題施行の具体的手続きなどは、学校における学習指導と重なる分野も多くあります。上記の評価、コミュニケーション支援法に基づいて、クラス担任と話し合う中で、担任教員による個別学習指導に有益な情報を提供できるよう力を尽くしています。
 学校現場において、担任教員の教育活動は、クラス、学年、中学部といった集団に対する指導と共に個別的な指導をする事、さらに、教科学習、作業学習、校外学習、行事を伴う学習、また家庭指導、生活指導など多岐にわたり、時間的制約もあるものと思います。教育活動はコミュニケーション行動、言葉を通して行われるものです。生徒一人一人のコミュニケーション能力を正確に把握することは、重要な事柄であると思います。
 この度、特別支援学校でのST活動を通し、教員の方々と連携するSTの役割と意義について改めて学ばせていただく機会を得られました。関係各位の皆様に深く感謝申し上げます。


言語聴覚士 中山 由紀氏
学校への派遣事業について
 足掛け二年間、都立白鷺養護学校(当時)へことのはサポートより派遣され、訪問をしていました。
 週に1回(翌年は隔週で)お伺いしておりましたが、療育現場中心に個別指導を行っていた言語聴覚士としては、当初「いったい何が出来るのだろうか」と手探りで活動を行っておりました。
今回の経験を通し感じたことは、
①言語聴覚士に出来ることを教育現場で『利用して頂く』こと」
②学習は普段の言語(コミュニケーション)能力と密接に関係があり、指示の方法一つで理解が大きく変わる
③(生徒ひとりひとり)個の能力を多角的に知る必要がある、
ということです。
 肢体不自由があれば、理学療法士や作業療法士が当然のように関わるのと同じく、 コミュケーション(社会性含み)で困っている場合には、言語聴覚士が当然のように関わっていく必要性を強く感じます。少しの変化が生徒さん方の大きな変化に繋がると信じております。


最後に…     理事長 柳田 節子
 特定非営利活動法人ことのはサポートの理事長を務めます柳田節子と申します。
 当法人は、平成15年4月19日に、東京都の認証を受けまして(15年都協市特第2777号)、NPO法人として活動を開始致しました。
 当法人の定款の事業目的の中に、ST(言語聴覚士)の養成、育成と謳いました。この事業目的により、平成18年4月から初めてSTを巡回指導という形で、ある都立知的養護学校(当時)へ入るという試みし、このたびの文部科学省の「障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業委託事業」の委託を受けることへ発展し、実施させていただきました。この実施に対しまして、都立白鷺特別支援学校、都立水元特別支援学校、都立墨田特別支援学校、そして当時から熱心に当法人と関わっていただきました各校の校長先生、ご担当の先生にはこの紙面をお借り致しまして、深く感謝申し上げます。各校の理解がなければ、いくら文科省からの委託を受けても活動の場がありませんでした。 
 さらに、この事業参加へのきっかけを作っていただきました前水元養護学校長の中川先生、前白鷺養護学校長の田中先生、そしてSTを学校教育の場へ民間活力を介して導入するという新しい試みに果敢に対応してくださった各校校長先生方の生徒により素晴らしい教育をという熱意があったことが、この事業が完遂した大きな理由であると思っています。
 また、当法人所属のSTは、それぞれに本業を持っています。その中の時間をこの事業に割いていただき、当法人の事業としての特別支援教育に対して惜しまぬ協力をしていただきました。当法人所属とはいえ、立派な本業をお持ちの松本美代子先生、松本真紀先生、救仁郷利依先生、奥山信爾先生、中山由紀先生、どうもありがとうございました。この素晴らしいSTの皆さんのスーパーバイザーとなってくださっていたのが、当法人副理事長であり「子どもの発達を支援するSTの会」代表の中川信子先生でした。
 STという専門家は、子どもの発語を促す目的を持つことは当然のことですが、単に表出言語を引き出すということだけではなく、コミュニケーションの支援ということも重大な課題であることを改めて認識していくことになりました。
 知的障害特別支援学校の教育の場へ、言葉の専門家であるSTが教育の支援者として正規に雇用され、教育の一端を担っていくことを願っています。
 最後になりましたが、この事業を与えてくださり、当法人に活動の場をいただきました 文部科学省へは深く感謝の辞を述べさせていただきます。そして、これからの特別支援教育を正しく率いていただけることを心からお願い致します。

                           製作:平成21年10月1日発行

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